
築○○年?の土蔵の改修工事です。
今年の雪で軒樋がダレ下がってしまいました。それで受金物から取替です。こちらの蔵は外壁から軒裏、鼻隠し、屋根(瓦の下)を土で被い、鼻隠しから下は漆喰で仕上げています。既存の軒樋の受金具は鼻隠しの漆喰から出ています。おそらく漆喰の下地の土壁の奥、捨て鼻隠しに取付けられているとおもわれます。同じようにするには鼻隠しの土壁まで取る事になるので・・・復旧が大変の工事になります。それで屋根垂木の上から留める受金具に変えます。それでも瓦を軒先から2列捲る事になりこれはこれで結構大変な工事です。
まず、瓦を元に戻す時、同じ位置になるよう瓦に番号を付け、固定している銅線を切って瓦を捲っていきます。次になるべく漆喰を傷めないように既存の受金物を切っていきます。そして、新規に取付ける金物の厚みのぶんだけ瓦座を切欠いて受金物を垂木に縫付ていきます。垂木の間隔が30㌢ぐらいだったのでそれに合わせて取付けました。既存の物よりも2倍数が入り奥越仕様?になりました。そして、瓦を戻していきます。
凍害で表面から割れている瓦や、雪止が取れてしまっている瓦等も取替えました。瓦を戻す時、軒先から2列目の瓦は上段の3列目の瓦を浮かし銅線で留めていく作業や、雪止瓦等の途中にある瓦を取替える作業はかなり手間のかかる作業でした。
昔、「越前瓦が葺けて一人前の瓦職人だ」と言われました。越前瓦は一枚一枚形や大きさが微妙に違っていて(焼く時に変形してしまい精度は良くありませんでした)それぞれあたりを削ったりして葺いていきました。久しぶりにそんな瓦を見、またそれらの瓦を楽々と戻していく作業を見ていると「さすがは職人さんだな~」と感心します。
現在の精度のいい瓦の足を桟に引っかけて釘で留めていく方法とは違い、あたりを調整しながら銅線で桟からつなぎ留めていく昔?の工法、これら技術が上手く伝わっていけばよいのですが・・・今後、このような改修工事が出来なくる?非常に心配です。
宮大工さんみたいに昔の工法を伝承していくいろいろな業種で「真職人」さんが必要になっていくのではないでしょうか?
土が流れてしまうので雨の日には出来ない作業です。予定通り1日で終える事が出来よかったです。瓦屋さん、板金屋さん、ご苦労様でした。