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木の事をもう少し

多くの方は、今お住いの家、通っていた学校等(体育館は別にして)で無垢材の床や壁で造られた建物を使われた事がないと思います。通っていた小学校が木造校舎だったら(まずそんな事はないでしょうが)、掃除等で雑巾がけをしていれば「木」ってこんなんだという事が無意識のうちに体感できますが、今そのような機会がほとんどないので、木の欠点?といわれている事、隙間が出来たり、膨れたり、割れたり、床なり等々がなかなか想像できないと思います。均一に作られた工業製品とはかなり違いますから。なぜ、欠点と呼ばれる事がおこるのか?

 

ほとんどの事は木と水分の関係からおこります。

木は生命体なので細胞組織でできています。その細胞の中に水分が多く含まれています。

伐採直後の杉は含水率(がんすいりつ)200%以上含まれているといわれています。普通100㌘の中に10㌘の水分があれば10%という事になりますが、含水率とは、完全に乾燥した木材が100㌘ありそれとは別に10㌘の水分が加わった状態を10%といいます。ですから伐採直後は乾燥した木材100㌘に対して200㌘の水分が含まれている事になります。これを乾燥させて含水率が30%(木の種類によって違いますが)前後を切るようになると寸法的に収縮が始まり、木材の強度も上がっていきます。この時、表面の寸法が変化し、中がまだ濡れている状態の時に表面が引っ張られて割れやすくなります。特に表面だけを急に乾かすと割れやすくなります。

さらに乾燥が進み木材は一定の温度と湿度の状態に置いておくと含水率はあるところ(だいたい12%~15%位)で水分の出入りがなくなり安定した状態になります。この含水率は温度と湿度で変わってきます。その安定した状態から例えば、雨の日は湿度が高くなり水分を吸い含水率は増、晴れの日は乾燥して湿度も低くなるので水分を放出、含水率も減り安定した状態を保とうとします。この水分の出入りする事は、湿度を一定に保とうとする事になり、この働きが調湿作用です。たま~に「木は呼吸する!」と言われる方がいますが、人間みたいな呼吸の事ではなく、この調湿性=吸放湿性の事です。ちょっとまぎらわしいですね!

それで、含水率が減れば木は縮み、増えれば伸びます。常に一定の温度と湿度を保てれば・・・、それは無理な事で、常に木は伸び縮みを繰り返しています。この事が隙間や膨れさらに床なり等を引き起こしています。ちなみに無垢の床材は含水率が10%以下が一般的で床暖房対応品になると5%位まで低くしてあります。現場に材料を搬入したら広げてなるべく時間をおいてから貼っているのはその場の湿度等になじませるためです。

ここで知っておいてほしい事があります。調湿作用がはたらいて吸放湿している間はいいのですが、水分を吸ったままの状態にしておくとやがて腐朽菌等が繁殖、木を腐らせます。木が腐れば強度も落ちますし、そのような水分が多いとシロアリ等の被害にあいやすくなります。含水率20%以下なら問題ありません。窓等の開け閉めで、吸放湿性を確保する事が大事です。

木が動く原因が水分の他にもう一つあります。それは育った環境からくるものです。急斜面で育ち光を得ようと枝葉が谷側に偏ります。重力に抗して立っているため細胞の中に蓄えられた力があります。その力が出てきて反ったり曲がったりします。

これらの原因で欠点と言われる現象がおこりますが、木には他の材料に比べ優れた点も多々あります。

例えば木は鉄より強い?これは、単位重量当たりの強さで比べるとという事ですが。

火に強い?木は空気をたくさん含んでいます。空気は熱を伝えにくいので酸素がある表面からゆっくり燃えていくため急に強度が落ちる事はありません。さらに材厚があると表面が炭化し中に酸素を供給しずらくなり燃える速度が落ちます。

その他にもいろいろあります。

自然の物なので、それぞれが個性があり違いがあります。そのへんの事を理解して・・・。