左官屋さんが「おうちに入れてください」と・・・。
ライフスタイルの変化で、建物の使い方は当然、間取り、そして使う材料等々、時代の流れで左官屋さんの仕事が家の中からなくなってしまいました。
座敷とはいかなくても塗壁の和室もありません。予算と工期の関係で家の内装はビニールクロスに取って代わられてしまいました。多くの家は外部の基礎にモルタルを塗るだけの仕事になってしまいました。
木造住宅では大工さんに次いで仕事量が多かったのに。左官屋さんに限らず大工さんはじめ、いろいろな業者さんの仕事の内容も変わりました。これからもまだまだ変わっていくと思います。
ところで、福井の左官屋さんは技能のレベルが非常に高い事を御存じですか。中には技能コンクールで日本一に輝いた人も!そんな方々の出番がないのは残念なのですが、これも時代の流れですか?。
さて、昔の事ばかり言っていても始まりません。変化していく中で、今有る技術で新しい事に・・・。
今、建てる人の感覚も変わってきています。「赤みで節のない木がいい」と言われたのはもうひと昔前の話。綺麗すぎるのは「印刷?」、「赤白で節があるのが無垢」、木に対する考え方もこんな感じで変わってきています。
塗り壁にしても同様に鏝むらのない平滑な仕上がりでなく、手仕事の後がはっきり残る仕上げが好まれるようになりました。それは座敷等の和室ではなく、みんなが集まるリビングの壁等、場所も変わってきた事にもよります。
手仕事の跡が残る、言い方を変えれば綺麗でなく、ラフな仕上。そんな仕上がりを見ていて、「これなら俺でもできる、か・も?」それも見本にあるような整ったパターンでなくもっと崩したような形、そちらのほうが個性的でクロス等、既製品では到底出せない味になる。
「こんなワクワクするような事、お施主さんも巻き込んですればもっと楽しい事になる!」
そんな感じで始めてしまいました。
しかし、いくら塗りやすいDAY品を使うにしても私を含め素人の集まりではなかなか難しい。そこに誰かわかる人がいてくれたら・・・。いる!目の前に、最高の先生が。
左官屋さん、養生から下地処理、下塗り、そして本塗の指導と補助をしていただければ、一気に施工のハードルが下がり、仕上げだけに集中できる!。それも楽しみながら!そして、左官本来の技は見せられませんが、それでも鏝の使い方をこんなふうにすると「お~」とか、こうすると「へ~」とか「さすがはプロ、やっぱちがうな~」となります。
楽しそうに家族で壁を仕上げて・・・見ている私や左官屋さんも。そしてそんな事をしていると予想もしていない扉が開く。
子供さんが小箱を持て来て「これ、くっつく?」と、箱のなかには海でひろってきた貝殻や波で角が取れて丸くなった硝子のかけらが。手の跡だけでなく『夏の想い出も埋め込んだ最高のモニュメント』のできあがり。
ある時、左官屋さんが
「みんながみんな楽しそうに壁を塗ってるけど、なんでかね?」と、
「だって子供の頃ってみんな泥んこ遊びが楽しかったでしょ、それにつながってると思いますよ、左官仕事は。それに、まだまだ、他にも可能性がいっぱいありますよ!」