薪ストーブ 快適ライフは煙突から

暑さのせいでバテバテですが、この暑い時にさらに「あ・つ・い」話を。

この前、薪ストーブのメンテナンスの話をしましたが、そこで少し掘り下げたお話を。

 

薪ストーブに憧れをお持ちの方は当然として、家を建てるプロの建築関係の方でも薪ストーブを設置するときに必要な煙突の重要性をあまり理解されていない方が大変多いのが実情です。

 

煙突は、薪ストーブの単なる付属品ではありません。大変重要な、パーツです。

ある煙突メーカーさんのカタログに「薪ストーブと煙突は、車とタイヤのような関係。車がタイヤをつけてはじめて走行できるように、薪ストーブに煙突を取付けることで、燃焼ができる排気システムが整います。」と書かれていましたが、私は、車で例えるなら、タイヤだけでなく駆動系やサスペンションを含めた乗り心地を左右する重要なパーツに匹敵する物が煙突だと思っています。快適な薪ストーブライフをおくるためには、煙突が最重要課題だと思っています。

 

そもそも薪ストーブには燃料である薪を燃えやすくする補助的なファンなどはありません。自然の力を利用します。

薪が燃えると煙を出します。その煙は、当然周りの空気よりも暖かいため、軽いので上に上がっていきます。この時、この煙がストーブや煙突を温めます。煙突等が暖まると上昇気流(ドラフトと言います)が煙突内部で発生、より煙を外に排出しやすくします。そして、より多く排出する事でストーブに新たな空気を引き込んで燃焼を促進します。

逆に、ドラフトが起こりにくい場合、それは、煙が上に上がりにくい、排気が滞る状態なので、薪がよく燃えず、煙が液化してタールになり、徐々に煙突をふさぎ・・・、最終的には煙道火災を引き起こします。

 

排気と燃焼がしやすいようにするには、効率よくドラフトを発生させる必要があります。そのため一番効率の良い煙突の形状はストーブから真っすぐ4~5メートル以上立ち上げる事です。そして、横引や曲をなるべく使わない事です。煙突だけの事を言えば真っすぐ立ち上げて、天井~屋根を突き抜ける、さらに外気温等の影響を受けて煙突内部の煙が冷やされないよう高い断熱性能を持っている事です。こうすれば煙はどんどん外に出ていきます。ただし、これは効率だけを優先した話ですから実際にはなかなか無理があります。

 

煙突を設置する上でまず注意しなければならない事は、煙は高温になっているという事です。

では、煙突内部を通っていく煙の温度はどれくらいのあると思いますか?。

薪ストーブの温度が300°の場合、煙突内部の煙は当然300°を超えています。ちなみに木材が着火を起こすと言われている温度が260°です。熱を伝えやすい金属の一重(シングル)煙突では、この260°を超えてしましますから、火災の原因になります。

特に注意が必要なのが建物から外に貫通する部分。真っすぐ立ち上げる場合は、天井~屋根間です。しっかりとした対策を取らないと火災になります。この部分は、熱を伝えにくい断熱性能の高い二重煙突と、その煙突を燃えない壁で包む必要があります。

 

さらに、煙突が屋根を貫通するという事は屋根に穴を開けるという事です。当然そこには、雨漏れの高いリスクが発生するという事です。さらに福井は雪国です。今年久々にドカ~ンと降りましたが、それらの雪の重みが煙突及び屋根の貫通部分に悪い影響を与えないか等々、十分な検討と対策が必要です。

近年、福井市内でよく煙突を目にするようになりましたが、これって間違いないの?というような、雪国なのに、雨が多い地域なのにと、そんな物件がよく見受けられます。

残念ながら計画の段階からしっかりとした検討がなされなかったのでしょう。立地条件、間取り、外観、構造、雪や雨、そしてメンテナンス等々、いろいろな兼ね合いを整理してその物件に合わせた最高の煙突の形状を検討する必要があります。

 

まだ続きがありますが、気になる金額の事も含めて次回にでも。