「木造の2階の部屋に4㌧の荷物を載せても大丈夫なように、その床を支える梁や柱はどんな断面が必要でしょうか?」
当然、設計者なら、まして建築士の資格を持つ者なら計算によって梁や柱の寸法(断面)を出せるはずですが・・・。
恥ずかしながら私、一級のホルダーですが・・・、あれ~これどうしたっけ?と。
昔使っていた本やノートを見れば・・・、きれいさっぱりない。しかたがないので手短にある本を見ながら???。
結局、もたもたしていられないので先輩の所へ。
そこで、そういえばこんな計算だった。と、なんとなく思い出して・・・。でも、やっぱり、頭の中、錆びついています。
でも、過去にしっかりやった事ですから、だんだんと・・・しっかり鍛えられましたから。そう、それはまだ、学校を出て2~3年だったころの話ですが。
仕事も終わって帰ろうとすると上司が「別段君、これ明日までにやっておいて」と一枚の紙を。それには、「積雪1.5メートルを載せた瓦屋根の軒先を90cm出したい。屋根垂木の断面寸法とピッチ(間隔)をどうすれば大丈夫か?」とか「登り梁にドーーマーを付けるため、断面の切欠きを考慮した梁の寸法は?」等々。そんな構造計算、特に断面の計算をよく宿題に出されました。毎回、もっと大学で講義を真面目に受けていればよかったと思いながら構造力学や材料力学の本を広げながら解いていました。おかげで基本的な事がある程度できるようになり、上司からの宿題はなくなりました。その後は木組みの基本から特殊な組み方、はたまた、細かい納まり等々を習い(今と違ってダメ出しをもらって後は自分で調べて、考える。答えは正解するまで教えてもらえない)、今にして思えば非常にありがたい経験をさせてもらいました。
プレカットで刻みをするようになって20年ぐらいたちます。このプレカットにお願いするようになって材料の断面計算はもちろん筋違計算等もすべてプレカットの方でしてくれるようになりました。そのおかげ?で私もここ20年ぐらい断面計算はほぼしていませんでした(ちょっと言い訳)。私みたいに一度やった者はまた思い出すからいいのですが・・・。
プレカットが普及したここ20年以内にこの業界に入られたほとんどの方々にはこういった手計算の経験がありせん。それはプレカットが全てしてくれるからです。そこに弊害ができています。断面計算、筋交い計算だけでなく伏図すらかけない方が大勢・・・。建築士の資格を取得するために勉強をされたでしょうが、それが業務にはいかされて・・・。
今回いい機会なのでしっかり錆を落とさないと。まずは、初歩的な所から、もう始めています。