建て方から一週間程経過した頃の写真です。
屋根工事も完了し、大工さんの工事も、筋交い等の耐力壁作りも終わり、優先している外部の工事も軒裏を作るのみとなりました。
仕上がってしまえば皆同じように見えますが、隠れてしまうところに建築会社ごとに大きな違いがあります。
その違いが、例えば今年の大雪が降った時などにあらわれてきます。
その一つ、ここで屋根についてのお話をさせていただきます。
ご覧のとおり、今回の物件の屋根は、流行の立平葺を採用させていただきました。
巾≒30㌢のSGL(ガルバリウムの進化形)鋼板の棟から軒先迄の一枚物を縦に貼り重ねていきます。縦に筋が入っている部分が鋼板の重ね部分です。
写真には、軒先周りの垂木がこまかく入っているのが写っています。これは雪対策のための物です。
雪による被害で多いのは、軒樋の破損と軒の出の部分で屋根が折れてしまう事です。
樋に関しては足場の費用等の問題はありますが、直す工事は比較的簡単にできます。
大変なのは軒の出の部分で屋根が折れた場合です。
この場合、屋根をめくり垂木の交換が必要になってきます。
垂木は、軒先から第2母屋(側桁から二つ目)まで変えることになります。
野地板と垂木は第2母屋までの交換ですみますが、屋根葺き材の鋼板は一枚物ですから当然棟までめくることになります。
その面の屋根葺き材は全て貼替になります。
屋根が折れると、この立平葺という仕様は非常に費用がかかる品物です。
年数がたてば垂木等木材の耐久性は落ちてきますし、数年おきにドカーンと雪が降りますから、瓦に比べて鋼板材は軽いのでそこまで必要?・・・の考え方は問題があると思います。
それ以前にそんな事(貼替)を認識していない設計者の多い事多い事。
屋根を折れにくくする、そのために出の部分の垂木をこまかく入れる、それが雪が多い奥越の山間部に住む私のこだわりです。