Ua値とC値について

高性能・高気密高断熱、長期優良住宅やゼッチ(ZEH)仕様、HEAT20仕様等どれもよさそうに見えます。

そこに出てくるUa値やC値とは何でしょう?また、それぞれの仕様の違いとは、ちょっと整理してみましょう。

Ua値とは、さらにQ値との違い


外皮平均熱貫流率=Ua値とは「外皮面積1㎡あたりの熱の逃げやすさ」を示したものです。

外皮平均熱貫流率Ua値(W/㎡K)=外皮熱貫流量q(W/K) / 外皮面積の総和∑A(㎡)

※外皮とは屋根(天井)、外壁、窓等の開口部、床等室内と室外の熱的に境界となるところ。

※外皮熱貫流量qとは、建物全体の熱の逃げやすさの合計。

 

冬の熱的性能指標は平成25年基準からUa値ですが、それ以前の平成11年基準はQ値でした。

違いはQ値は床面積で割った指標、Ua値は外皮面積で割った指標。計算が簡略された。Q値では換気による熱損失を加算していたが、Ua値ではそれがなくなった。

熱損失係数 Q(W/㎡K)={外皮熱貫流量q(W/K)+換気による熱損失量Qv(W/K)} / 面積∑S(㎡)

 

Ua値やQ値は「冬、建物全体でどれだけ熱が逃げるか?」を示しています。

省エネ等級4(次世代省エネ基準)、HEAT20、ゼッチ(ZEH)の違い

1999年基準

住宅事業建築主基準 Ⅰa  Ⅰb

Ⅳa

Ⅳb

改正省エネ基準

2

3

4

5

6

7

8

実際の地域

北海道 

青森他 東北~長野 関東・近畿・四国・九州 鹿児島等 沖縄
省エネルギー対策等級 4(次世代省エネ基準) 

Q値

1.6 1.9 2.4 2.7 3.7

Ua値

0.46 0.56 0.75 0.87  

冬・15℃になる割合

4% 25% 30% 30%  

冬・最低体感温度

10℃ 概ね8℃を下回らない  

HEAT20 G1(2015/12)

Q値

1.3 1.4 1.6 1.65 1.9  

Ua値

0.34 0.38 0.46 0.48 0.56  

冬・15℃になる割合

3% 15% 20%  

冬・最低体感温度

13℃ 概ね10℃を下回らない  

HEAT20 G2(2015/12)

Q値

1.15 1.3 1.6  

Ua値

0.28 0.34 0.46  

冬・15℃になる割合

2% 8% 15%  

冬・最低体感温度

15℃ 概ね13℃を下回らない  

ネットゼロエネルギーハウス外皮性能(ZET)

Q値

1.4 1.9 3.7

Ua値

0.4 0.6  

福井は改正省エネ基準の地域分けでは5地域になります。

この表で注目していてだきたいのは、それぞれの「冬季体感温度が15℃未満になる割合」「冬季の最低の体感温度」です。

(HEAT20の資料より)

Q値やUa値の数字を見てもピ~ンときませんが、温度に置き換えると実感がわきませんか?

5地域の福井では、長期優良住宅レベル(省エネ等級4、次世代省エネ基準)だと「8℃を下回らない」となっています。

8℃は寒いですよね!

この基準の基になっている次世代省エネ基準(2020年義務化される?基準)は寒いと言っていいと思います。

 

できれば、最低の体感温度が13℃を下回らないというHEAT20 G2くらいのレベルがあれば望ましいのですが・・・

HEAT20?


何やら、又わけのわからない言葉が出てきました。

「HEAT20」とは、民間の研究会です。

国の省エネ基準が次世代レベルで止まっているためよりハイレベルな基準を策定する断熱の研究者や企業で組織された会の1つです。

HEAT20は、H11年(1999年)基準から若干のコストUP?で対応できる「G1」と、それよりさらに強化された「G2」があります。

C値とは


相当隙間面積 = C 値とは「床面積1㎡あたりの隙間の量を㎠の単位で示したもの」です。

相当隙間面積 C値(㎠/㎡)= 隙間量(㎠) / 床面積(㎡)

隙間の実態(大きさ)=気密の実態は、気密測定をしなければわかりません。

気密測定を行えば相当隙間面積 = C 値がわかります。

それではC値の具体的例として、

仮に吹抜けのない延床面積が40坪の家を測定したら相当隙間面積 C 値が 1 という測定値がでたとします。

C値=1とは、床面積が40坪=132㎡ですから132㎠の隙間があるということです。

それでは132㎠とはどれくらいの大きさでしょうか?

ちなみにハガキの大きさは約10㌢×14.8㌢=148㎠です。ハガキより若干小さい大きさということになります。

そこでちょっと想像してください。ハガキ半分の大きさの隙間がある家と2枚分の大きさがある家と・・・暖かさや寒さに極端な違いが出ると 思いますか?実はそんなにありません。

より高い気密性能を確保する目的は「換気経路を計画する」ということです。

私は C 値 = 1 を切る、さらに経年劣化を考えて0.5を切ればいいと考えています。気密の数字を追い求めるよりもまずは断熱層に暖かい湿った空気が入らないこと(結露を壁の中でさせないため)、空気が流れていくことを止める気流止がしっかりできていることが前提だと思っています。